上達曲線④ 審査との関係

前回までの投稿で、「上達曲線」とAパターン、Bパターンの傾向と対策について書きました。
今回は、さらにそこから審査との関係性について考えてみます。

下図は、前回の上達曲線の図に、審査による昇級ステップのイメージを書き加えたものです。
(実際には級が上がるごとに必要な稽古回数が変わるので、図のように直線ではありません)

昇級は、稽古量の蓄積とほぼ同期して進みます。
これは、「質の変化」を起こすためには結局のところ量が必要なので、
審査課題を単にクリアできるかだけでなく、じっくり量を積み重ねていただきたいからです。

さて、ここで現れるのが、A、Bパターンの実際の技量と昇級とのかい離です。
特にかい離が大きくなるのが、青帯から黄帯でしょう。
Aパターンの人は、空手に慣れて色んな動きがどんどん出来るようになる時期の一方、
Bパターンの人は、スムーズに動くにはまだ時間を要する時期です。

ですが、この段階で他者と自分を比較するのは賢明ではありません。
所詮は、「質の変化」に至るまでの途中経過に過ぎないのです。
ご自身の中長期的な上達を見据えて稽古をお続けになるべきでしょう。

Aパターンの人は、技や型の種類を増やすだけでなく、基礎にもじっくり取り組むこと。
白帯の課題である太極一をとっても、いくらでも深める余地があります。
上達カーブが鈍化するとき、見直すべきは基礎なのです。早いうちからやっておくに越したことはありません。

Bパターンの人は、結果を急がず、淡々と稽古を積み重ねること。
次の昇級に必要な稽古コマ数を満たすこと自体を励みにするのもよいと思います。
また、新しい技や型を覚えるより、基礎をじっくり固めることに目を向けるべきです。
難しいのは、審査を目標に置きすぎると、課題をこなすことが優先されがちになってしまうことです。稽古は重ねつつも、審査の目標時期はご自身で調整するのも良いかもしれません。
この時期に色々と試行錯誤するのも結構ですが、単純な動きの積み重ねから自然と生じる気づきやコツが、一番の上達のキーになるはずです。

両パターン共通して大事なのは、他人との比較、競争ではなく、審査を通じてご自身の課題を見つけ、その改善に繋げていくこと。
競争意識は、武道の実技面でもいい結果を生みません。

「競わない」というのはとても重要な心構えだと思います。

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