道友に感謝する

今回は、私が稽古で心掛けていることの5番目、「道友に感謝する」について書きます。

  1. 土俵を変える・質を変える
  2. 分からないことを大切にする
  3. 数を重ねる
  4. 稽古を楽しむ
  5. 道友に感謝する

「道友」とは聞きなれない言葉かもしれませんが、「道を同じくする友」のような意味です。
江上茂という、非常に柔らかい空手を追求された先生が好んで使われたと聞いています。
非常にいい言葉だと思います。

武道の「道」に終わりはありません。
先輩・後輩や帯の色の差は、たまたま始めたタイミングや、その時点における技量の差でしかありません。
ビジネスの世界のような競争相手でもありません。
稽古相手は、向かい合って対立する相手ではなく、同じ方向を向き、同じ道を歩む仲間=「道友」だと思うのです。

今でこそ大分薄れつつありますが、ちょっと前までの武道、特に空手の世界では、師弟関係や上下関係での過剰な礼儀作法を要求するきらいがありました。
私は、礼儀作法は稽古相手や、稽古をする場への「感謝」に根差すものであって欲しいと思います。
形式に堕した礼儀作法は、見ていて気持ちのいいものではありません。

私のお師匠さんは、「一礼で身体が整わなければいけない」とおっしゃっていました。
実際、気持ちを込めて丁寧に行う礼は、それぐらいの効果を生むものだと思います。

組手でも護身術でも、相手から学ぶことが多くあります。
単なる腕試しの対象ではなく、その時々の自分の状態や、やろうとすることに対して、相手がどう反応するかから学べることが沢山です。
その意味では、稽古での上下関係はそもそも存在しません。
「我以外皆師(われいがいみなし)」という言葉は、決して単なる綺麗事ではありません。

相手に足りないことを、自分が教える立場になったとしても、その自分が教える内容は、やはり誰かから学んだものです。
つまり、自分は先達から学んだことを受け渡す通過点であって、自分が偉いわけでもありません。

稽古相手はみな「道友」であり、「道友に感謝する」ことで、稽古がますます充実するものだと思います。

以上で、私が稽古で心掛けていること5点を書き終えました。
次回からは別のテーマで書いていく予定です。

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