以前、私の武道歴でこれまでの武道経験を書きました。
道場生の方から、もっと詳しくいろいろなエピソードを紹介して欲しいとの要望をいただきましたので、これから少しずつ書いていきたいと思います。
今回は、私の武道歴でも触れた父との自宅稽古からです。
この記事でも書いたように、稽古の中心は基本と移動で、まとめとして型や組手をやる感じでした。
加えて、身体づくりのためとして、相撲のテッポウという鍛錬を取り入れていました。
印象に残っているのは父の組手です。
父は家でやる組手のことを「目慣らし組手」と呼んでいて、「力を抜いて柔らかく」、「相手にケガをさせるようではいけない」とよく言っていました。
柔らかく、お互いが痛くない組手が出来るようにするため、あえてサポーターは付けずに練習をすることが多かったです。
父が得意としていたのは、相手の出鼻を捉えた関節蹴りです。
迂闊に入ろうとすると、すぐに膝へ関節蹴りを合わせられました(寸止めです)。
タイミングが非常にうまくて、何とか関節蹴りをもらわずに間合いを詰められないか、色々工夫をしました。
それでも埒が明かないと、寸止めの関節蹴りを無視して強引に飛び込もうとするのですが、そうすると、「雑な組手をするな」、「それでは上手くならない」と注意されたのを覚えています。パワーで押し込むような組手は、父は決してやりませんでした。
関節蹴りのタイミングの妙は、晩年の組手でも健在だったのではないでしょうか。
父との稽古では、技術的に細かいことはあまり教わりませんでしたが、足腰や肚を中心とする身体遣いや、心構えのベースを作ってもらえたと思っています。
この時期に叩き込まれたことが、後々どこの道場を訪ねても、非常に役立ちました。
次回は、大学時代の空手や茶道の経験について書く予定です。