「無理は続かない」

S先生が稽古や鍛錬のあり方として、「無理は続かない」、「無理をしてはいけない」とよくおっしゃっていました。
ここで言う「無理」とは、単に「頑張る」というような意味ではなく、字の通り「理の無いこと」です。

武道の世界では、どうしても精神論、根性論が先走りがちで、「無理を通せば道理が引っ込む」的なところがあったと思います。
最近は少なくなっていますが、武道絡みのニュースなどを見ると、消えたとは言えないようです。

ただ、それでは実際のところ、何が「無理」で、何が「無理でない」か、判断はそうそう簡単ではありません。

例えば、騎馬立ちで腰をグッと落すと膝を痛めてしまう、だから騎馬立ちは合理的ではないのか。
というとそんなことはなく、腰を落としても膝を痛めない姿勢はできるわけです。
むしろそれを模索することで、ご自身の姿勢や身体遣いを矯正できる。

あるいは、四股踏み千回なんて数が多すぎて非合理、もっと少ない回数で効果が得られる方法があるはず。
これもやはりそう単純ではなく、千という数を積み重ねることでこそ得られる効果があります。
実際にやると分かると思いますが、700~800回位から感覚が変化してくるのです。この変化は100回程度では生じません。
(でも、もっと効率のよい方法はどこかにあるかもしれません。それも否定しません)

結局、「無理」かどうかの判断は、自分の身体を通して検証してみることでしか分からないのです。
予断を交えず「素直にやる、その上で検証する」というのが大事だと思います。

ただ、ここで改めて考えておきたいのが、武道の稽古で目標にしたいのは、この投稿で書いたように「土俵を変える」、「質を変える」ことであり、実際に自分が変わるまでは、変わった先で理があるかどうかの判断はできないという点です。
地道に稽古、鍛錬を続けて質が変わり、「無理でなかった」ことが分かればいいのですが、下手をすると本当に「理の無い」ことを続けてしまって、身体を壊すのもあり得ないとは言えません。
壊れてしまう前に、止めるかやり方を変える判断が必要となるのですが、それが早すぎると、今度は単に土俵が変わる前に諦めたのと同じになってしまう。

日々真面目に稽古をしようとされる人ほど、この難しさに突き当たるのではないでしょうか。

ではどうすればよいのか。
大原則は「実践を通して自分で考える、検証する」に尽きるのですが、私なりの見方を次回書いてみたいと思います。

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