O先生の指導を受けているとき、
「動くは「重い力」と書く。動くときには重さがないといけない。軽くては動いていると言えない」
と言われたことがあります。
実際、先生が立禅をしている手を触らせてもらうと、横から押しているだけなのに何とも言えない重みがあり、動き出せばその重みがどんどんこちらに伝わってくるのが分かりました。
160cm程度の老人とは思えない重さ、パワーです。
筋肉的な圧とは全くの別物です。
武道学館では、これに相当するチェックを行っているのが、前屈立ちからの突きの移動稽古です。
まずは静止した状態で手を突き出して、手が腑抜けになっていないか、力が通っているかをチェックし、次は動き出したときに、移動による重さが拳に伝わっているかをチェックしています。
特に後者が難しいところです。
拳を抑えられたまま進もうとしても、全く動けないか、拳はそのままで身体だけが前に出てしまうか、どちらかです。
つまり、重心移動により生じる力を拳に伝えられていない、「軽い」動きになっているということです。
慣れると、ただ拳を前に突き出して歩くだけで、相手が崩れていくようになります。
先生は、
「たとえ40、50kgの体重でも、それが全部拳に乗っていれば、とんでもない衝撃がくるよ」
ともおっしゃっていました。
具体的に各部位がどうあるべきか、この記事で触れたのもその一部ですが、まずはとにかく、動くからには「重い力」をたたえているようでありたいなと思います。