前回に続き、稽古で心掛けていることの3番目「数を重ねる」について書いていきます。今回は、具体的にどんな内容をやると良いかです。
□基本的な考え方
目指したいのは、足腰を土台に、全身が柔らかくまとまった「上虚下実」の体づくりです。
そのためには、以下3つの要件を満たす運動がよいでしょう。
・色々な部位が連動
純粋に筋トレ目的であれば、鍛えたい部位だけを使うトレーニングを行うのが常道ですが、やりたいのは、足裏から手先まで力が流れるような体づくりです。
そのためには、一回の負荷は少なくても、複数の部位を連動させる運動が効果的です。
また、この方が年齢が進んでも無理なく続けやすいでしょう。
・動作がなるべくシンプル
「質の変化」のためには、身体内部の動きを捉えられる感覚が必要です。
動作がシンプルな方が、外の動きではなく、内部感覚に意識を向けやすくなります。
・毎日できる
「上虚下実」な身体の状態が無意識で成立するためには、習慣化が必要です。
毎日行えるような運動が適切でしょう。
ただ、道場に毎日来るのは現実的ではありませんよね。
短時間からで結構ですから、できれば毎日、ご自宅でやれるとよいでしょう。
ではこれらの要件を満たす運動は何か。
初心者とそれ以外の方で分けてみてみます。
□初心者の方
何はともあれ、空手の動きに慣れる必要があります。
道場では、特に基本的な動作にじっくり取り組んでください。
必要な筋肉も自然とついてきます。
基本稽古は、軸をブラさず、肩が力まないようにしながら、思い切り大きく。
移動や型は、前屈追突きや太極などの基本を、腰をグッと落として。
早く色んな動きをやりたいとお思いになるでしょうが、大事なのは基本です。
あせらずじっくり行きましょう。
加えてご自宅でも時間をさけるなら、足腰づくりを行うと良いでしょう。
やりやすいのは、騎馬立ちで腰を落とし、30秒、1分、2分と静止する鍛錬です。
上体をまっすぐ立てて行えば、足腰だけでなく体幹も強くなります。
腰の高さは無理のない範囲で行い、きつくなったら休んでもう1~2セット。
数分ででき、場所も取りません。
ぜひ日課に取り入れてみて下さい。
□空手の動きに慣れてきた方
ご自身の得手不得手に応じて運動を組合せていくとよいと思いますが、
どなたにも共通してお勧めしたいのは、足腰の鍛錬および肚や軸感覚の養成になるものです。
ご自宅でも出来るお勧めの運動を二つ紹介します。
まずは「四股踏み」。
タタミ一畳あれば十分でき、動作もシンプルです。
私が昔S先生に教わり始めた時、まずやるように言われたのがこの運動です。
四股踏みと言えば相撲ですが、私が習ったのは相撲とは異なったやり方です。
少々コツが要りますが、続ければ身体がグッと強くなります。
男女問わずお勧めです。
このブログでも、いずれやり方をご紹介したいと思います。
ただ、「四股踏み」は元から空手の鍛錬というわけではありません。
そもそも空手の型は元々、技の習得だけでなく、体づくりを兼ねたものであり、
体づくりに主眼を置いた型としては、「三戦」の型が有名です。
基本稽古の立ち方である「三戦」の姿勢のまま、前後に動きつつ技を繰り出す型です。
タタミ一畳というわけにはいきませんが、型にしては狭い範囲ででき、動きもシンプルです。
月曜日の古流クラスで指導しています。
徐々に他のクラスにも取り入れたいと思っています。
両者とも、動きはシンプルながら、幾らでも深めることができる非常に優れた運動です。
やればやるほど、身体と内部感覚の変化を実感できると思います。
では、このような運動を
②どれくらいの数
③どれくらいの期間
④どんな意識で
続けて行けばよいのかは、次回の投稿で書きたいと思います。