
前回のブログにも書いたように、柔軟体操は足腰作りと並んで重要なものと捉えています。
稽古で柔軟体操を行う際は、なるべくお一人お一人回り、適切な方向へ伸びるようにサポートしていて、さらに最近は少し揺れを加えながらやるようにしています。
武道学館の柔軟体操は、私が以前学んだヨガの要素も取り入れていますが、揺らして伸ばす方法は、ヨガでは一般的ではありません。
アジャスト(生徒のポーズを触りながら正しい形に調整すること)は、ヨガインストラクター養成コースの重要な課程の一つなのですが、揺らす方法を私は習いませんでした。
(ヨガも色んな流派があるので知らないだけかもしれません)
ただ、自分の経験では、グッと伸び切ったような状態へさらに少し揺らぎを加えてあげると、一段階身体の奥から緩んで伸びてくる感覚が以前からありました。
一般的な方法ではないので躊躇はあったのですが、一部の方に試させてもらったところ、確かに効果があるようなので、最近は広く皆さんにもやるようにしています。
理論としても、身体の硬さは、筋繊維だけではなく、筋膜、皮下組織、血流の状態まで全てが影響していて、それら全ての要素が総合されて柔軟性に現れるのだから、ただ伸ばすのではなく、揺らぎを加えることで多層的にアプローチできるというのを何かで読んだことがあります。
自分の感覚とも合致して納得です。
また、この「伸ばす」というある種のテンションがかかった状態で、さらに「揺れる」ことができるというのは、武道的にも重要なことだと思っています。
相手にグッと強くつかまれると反応して力んでしまい返せなくなる、組手でも相手の構えや迫力に負けまいとして力んでしまう、というのはよくある失敗例ですよね。
このような相手からの「圧」がかかった状況においても、身体内部には揺らぎを内包し自由に動ける、それでいて腑抜けではなく簡単には崩されない、そんな風にありたいものです。
とはいえ、これがなかなか難しい。
キーは「呼吸」だと思います。
30代OLの空手ノートでも書いてくださっているように、呼吸(息)は心身の状態に強く影響します。
大抵の場合、テンションがかかった状態では呼吸が詰まってしまっています。
だから身体がこわばる、力んでしまう。
なので、まずは呼吸を楽にする、そうすると、圧を受けながらも動きの自由度があがります。
稽古の過程としては、圧を受けた状態で、動く前にふっと一息ついてみるというのも一つのやり方かもしれません。
(もちろん実践の場ではそんな余裕はありませんから、最初から圧に反応せず呼吸が乱れないのが目標です)
柔軟体操でも、一旦伸びた状態から力で伸ばそうとするのではなく、ふっと呼吸を楽にして揺れるようにする、そうすると深部が緩んで、一段階奥から伸びるような感覚が出てくるはずです。
これは柔軟性アップのためだけでなく、空手の技量の向上にも直接つながることです。お一人でもできることですので、ぜひ今後やってみてください。
付記
「どんな姿勢をとっても「揺れる」ようでありたい」というのは野口体操のテーマでもあります。野口体操の羽鳥先生が↓のようなブログを書いておられました。ぜひ合わせてご一読ください。
https://blog.goo.ne.jp/ngc3003/e/a1eccf68624cb3daf2b304e64238c866


