新年のご挨拶

新年あけましておめでとうございます。
皆さまの支えにより、無事に道場を運営し続け、今年もご一緒に稽古することができます。
心から感謝申し上げます。

先代から道場を継いで7年目、創設からは28年目になります。
おかげさまで武道学館の方向性を評価いただき、独自の存在として皆さまに捉えていただけるようになってきたように感じています。
そんな皆さまから、「いろいろ大変な時にこの道場があってよかった」「自分にとってのサードプレイス」などと言っていただけると、大変うれしく思います。

「本当の強さは、やさしさです」。
武道学館創設以来の、とても大事な理念です。
これまでさまざまな変化を重ねてまいりましたが、私が考えていたのは、これを単なる理想論や標語で済ませるのではなく、具体的な身体のあり方にどう落とし込み、そのための稽古方法をどう構築していくかということでした。

例えば、棍棒のように手足を振り回し、相手をなぎ倒すようなあり方、これも「強さ」と言えるかもしれません。
しかし、このような一方的な振る舞いが、「やさしさ」につながるとは考えていません。
同様に、たとえそれが暴力ではなく善意の行動であったとしても、相手の事情を考慮しない一方的な押し付けであっては、本当の意味での「やさしさ」とは言えないでしょう。

この、一般的にイメージされる「強さ」と「やさしさ」の矛盾を放置しておいては、理念が標語で終わってしまいます。
ではどうあるべきか。現時点の私が考える、「本当の強さ」としての「やさしさ」につながる身体のあり方の要件は2点です。

① 自分で「立てていること」
前提として、相手に寄りかからず自分で立てている必要があります。
ここで意味する「立てる」とは、身体を固めた後付けの力によるものではなく、自分が生来持っている存在の確かさを微細に認識できる状態のことです。
この方が外部変化に対して柔軟に対応でき、身体条件を選ばず実現できるはずです。

② 相手の状態や変化を感知できること
上記で得た感覚を拠り所として、相手の状態や変化を微細に感じ取り、対応できるようになれば、独りよがりではなく相手の芯に響く技を施せるようになるはずです。
これは必ずしも威力の大きさを必要としません。
内部変化を察知し、ピンポイントに、自分の意図を含ませず応じることが重要になります。

まず①で自分の身体に対する認識が深まること、これが大前提です。
自分にない感覚は存在しないも同然なのですから、相手に見出すこともできません。その上で、②で①を検証していきます。
上級になればなるほど、独りよがりではなく、相手のより深部での変化を感知して動けることが求められます。
①で身体を作り、②で現状を確認し、①に立ち戻る。
これを繰り返すことが、すなわち稽古です。

①は象徴として「立つ」と表現していますが、「座る、立つ、歩く」、さらには単独で行う動作すべてが当てはまります。
②も同様に、各種組手などの相対稽古すべてを含みます。
つまり、いま我々が行っている稽古のすべてが、どちらかにつながるものにできるはずです。

虚勢を張ることなく「立て」、相手の変化を察知できる状態が整っていれば、いつかは「本当の強さ」としてのやさしさを表出できるようになるかもしれない。そのための道場でありたいと思っています。

私もまだ修行中の身ですが、これからも皆さまと稽古を楽しみながら、一つでも気づきを得られたらと思っております。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

まずは見学から!

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