私の武道歴 その8 ~ヨガ

引き続き、私が影響を受けた先生・経験について書いていきます。
今回は「ヨガ」です。

武道学館の出自である極真空手の準備運動には、ヨガの動きが含まれています。ただ、それぞれの動きの細かいポイントを教わる機会はなく、一度ちゃんと学んでおきたいと思っていました。
どうせやるなら本場で集中的にと、インドで開催されているインストラクター養成用の1ヶ月キャンプに参加しました。

この経験で得られたことをまとめてみます。
①本場で学ぶことで、ヨガが発生した文化的・歴史的背景を肌感覚で知れたこと
②たった1カ月とはいえ、毎日、一日中ヨガ漬けになることで、身体が大きく変化するのを体験したこと
③武道との修練スタイルの違いによる、それぞれのメリット・デメリットが分かったこと

①本場で学ぶことで、ヨガが発生した文化的・歴史的背景を肌感覚で知れたこと
ヨガは、今は美容健康のエクササイズとして広まっていますが、もともとは、ヴェーダというインド哲学の行者が瞑想を行う前に身体を整えるためのものです。
ヨガという言葉自体も、単なる体操ではなく、かなり広範な意味を含んでいます。ポーズをとるのはハタヨガといい、ヨガの一ジャンルに過ぎません。
これらの背景を、インド現地で生活し、歴史や文化を肌身で感じながら学べたのは大きかったように思います。

②たった1カ月とはいえ、毎日、一日中ヨガ漬けになることで、身体が大きく変化するのを体験したこと
武道は年単位で学ぶのが当たり前の世界なので、1カ月集中ということにそれほど期待はしていなかったのですが、座学も含め夜明けから日が暮れるまでヨガ漬けになっていると、身体がどんどん変化していきました。
体つきも変わりましたし、なかなか出来なかったポーズも難なく出来るようになりました。
当たり前なのかもしれませんが、一定期間に密度高く稽古を重ねることの意義を改めて理解しました。

太陽礼拝という一連のポーズを108回連続でやったのも、よい経験でした。
108回にもなると、1.5~2時間ぐらいはかかったのでしょうか。
自分で数えながらやるのは無理なので、途中で数えるのをやめ、号令係の指示に合わせてただ繰り返していくと、自然と身体に流れが生じて、動きに身を任せるような感覚が生じました。
いわゆるフロー状態に近くなったのかもしれません。

これは空手の型でも同じことが生じるはずです。
ヨガの教室では、年末に太陽礼拝を108回やるところもあるようですし、武道学館でも、一度皆さんと一緒に一つの型を108回やる機会を設けてみたいと思っています。

③武道との修練スタイルの違いによる、それぞれのメリット・デメリットが分かったこと
ヨガは、アーサナ(ポーズ)をきめることで、身体の内部変化を促していきます。
各アーサナには細かい要件があり、それらを自分の感覚や先生の目でチェック・修正していくのですが、基本的には一人でやるものです。
なので、パッと見はそれなりでも細かく見ると正しくなかったり、一部の筋肉を固めてポーズを決めていたり、ということが往々にして生じやすいようです。

武道ではその点、組手など相手とペアで行う相対稽古があります。
これによって、相手の反応を通じて、自分の動きが中身を伴った正しいものなのかを検証することができます。
見た目の良さに留まらず、実効性を担保する仕組みがある。
武道の大きなメリットの一つです。

一方で、相手に無理やり効かせようとパワーに頼ったり、即効性のある技に偏ったり、ということが生じやすくなります。
武道の相対稽古は、相手との比較の手段ではなく、自分の検証の手段であることを、常に意識付けておかねばなりません。

ヨガを集中的に学べたのは、この1ヵ月間がメインですが、他の諸々の経験と合わせて多くの収穫がありました。
現在の武道学館では、準備運動にヨガのノウハウを取り入れていますが、加えて、闘争手段ではなく、ヨガのように自分の心身を整える手段としての武道を、今後も追及していきたいと思っています。

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