私の武道歴 その6 ~S先生

社会人になってからは、会社勤めや武道学館の手伝いと並行して、様々な道場・先生を回ってご指導いただきました。
その中でも特に強く影響を受けた経験・先生について書いていきます。
初回は、以前も書いたことのあるS先生です。

20代に、務めていた会社を一旦退職し、2年半ほど道場巡りをしていた時期があります。
S先生とは、この時期の初めにお会いし、それから2年ほど、週何回かマンツーマンでご指導いただきました。

ご指導を仰ぎながらも道場巡りを続けましたが、その後も結局、S先生以上のご縁は出来ませんでした。
『良師は3年かけて探せ』という言葉がありますが、その点、私はとても運がよかったと思います。

S先生は、メインは合気道ですが、自身の探求の過程で中国拳法や内功法(気功みたいなもの)、剣術、禅など幅広く研究しておられ、それらのエッセンスを惜しみなく教えてくださいました。
この間に学んだことが、現在の私にとっても最も大きな財産の一つになっています。

S先生に指導を受ける上で、初めに言われたのが「四股踏みを毎日千回やるように」です。
先生のお考えは、「どの武術にも共通する身体の在り方があり、各武術はその表現方法に過ぎない」というもので、その共通の身体づくりの土台となるのが、教えていただいた四股踏みでした。
(ちょっと独特なやり方です。会員の方向けにはここで説明しています)

実際に毎日やりましたが、やればやるほど身体が変化し、これを通じて空手も変わりました。
武道云々に限らず、健康増進や精神面にも効果のある、非常に優れた鍛錬だと思います。
千回は無理でも可能な範囲で結構ですから、なるべくコツコツ継続的にやることをお勧めしたいです。

加えて、先生と過ごした中で学びの大きかったのが、雑談です。

稽古後、毎回のように先生と食事やお茶をしにいきました。
(若輩者によく付き合ってくださったなあと思います)
先生は、とても幅広い知識をお持ちの方で、武道談義はもちろん、社会一般について色々話しをしてくださいました。
この時間が本当に貴重で、先生のそもそもの考え方を知ることができ、これが実は今も非常に役立っていると感じています。
かつての内弟子制度のように、師と寝食を共にすることで学ぶことはもっと大きいんだろうと思います。

S先生がよく思考を巡らせていたのが「現代社会における武道の意義」でした。
これは私にとっても、今後ずっと考えていきたいテーマです。

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